うちの次男(ASD・6歳)は、スイミングに通っています。
でも、一時期は「もう絶対に無理かもしれない」と、退会を決意したことがありました。
今日は、発達特性のある子の習い事を「やめさせるか、続けさせるか」で悩んでいる方に、わが家の体験を書こうと思います。
結論から言うと——簡単に見限らなくてよかった、という話です。
きっかけは「やりたい」のひとこと
スイミングは、次男自身が「やりたい」と言って、約1年前に始めました。
最初は「楽しい」と言っていたし、テストにも順調に合格していました。 ASDの「言われたことを正しく守る、まじめな性格」が、いい方向に働いているように見えたんです。
「あれ、これは長男のときより早く泳げるようになるかも?」なんて、ちょっと期待もしていました。
小さなつまずきが、大きな「嫌」になる
ところが、ある日から雲行きが変わりました。
同じクラスの子が、次男の順番を抜かして先に泳ぐ場面が、何度かあったんです。
次男は、それがどうしても許せませんでした。 でも「やめて」と言えない性格。だからもんもんと我慢して、家に帰ってから「嫌だった!」と怒る。
そのときから、「意地悪してくる子がいるから」と、スイミングに行くのを嫌がるようになりました。
さらに追い打ちをかけるように、潜った瞬間に鼻に水が入ってしまって。 スイミングが、すっかり「怖くて嫌なもの」になってしまったんです。
ASDの次男は、相手にそのつもりがなくても被害者意識が強く出ることがあります。 そして嫌なことを、その場で主張するのがとっさにできない。相手によって、言えたり言えなかったり。
ささいなことがきっかけで、「スイミング=怖くて嫌な場所」とインプットされてしまうんです。
「頑張ろう」では、どうにもならなかった
それでも私は、ここで頑張ってほしいと思っていました。 簡単にやめさせたくなくて、「頑張ろう!」と励まして、通わせ続けたんです。
でも、状況は悪くなる一方でした。
前日から「明日はスイミングある?」と何度も確認してくる。 「行きたくない」「行かない」を連発する。 当日の朝も、スイミングが嫌だと言って泣く。
「君なら大丈夫だよ」となんとかなだめて幼稚園へ送り出し、夕方お迎えに行くと——
事件が起きていました。
次男、失踪事件
幼稚園の教室に、次男がいないんです。
担任の先生いわく、「そういえば今日、スイミングに行きたくないから帰りたくないって言ってました!」
通りがかった他のクラスの先生が、「次男くんならさっき廊下で隠れてたよ!」
行ってみると……いない。
先生方やお友達と一緒に園内を捜索した結果——階段裏に隠れていました。
「スイミング行かない!!やめる!」
怒る次男をなだめて連れ帰り、レッスンの時間が迫っていたので、そのままお迎えの車でスイミングへ向かいました。
すると今度は、車から降りてこない。
車に立てこもって、「スイミング行かない」一人立てこもり事件。
どうにもこうにもいかず、その日は帰りました。
そして、それが2〜3回続いたんです。
「もう無理かな」と諦めかけた、そのとき
ここまで頑固だと、もう通うのは無理かもしれない。
本当は、体のためにも、あきらめない心を育てるためにも、続けてほしかった。 でも、本人がここまでするなら仕方ない……。
そう思って、退会を申し出にフロントへ行きました。
すると、コーチの方が、こう声をかけてくれたんです。
「ここまで来てくれたら、あとは私たちがなんとか対応しますよ」
半ば「ASDだから仕方ないのかな」と諦めていた私は、その言葉に背中を押されました。 これが最後のチャレンジだと思って、翌週もう一度、行き渋る次男を車に乗せてスイミングへ向かいました。
コーチの一言で、世界が変わった
案の定、車から出てこない次男。
フロントのコーチに状況を話すと、わざわざ車まで来てくれて、次男にこう言いました。
「お顔に水をつけるのが怖くなっちゃったんだね。分かるよ。じゃあ、プールサイドで見学するだけでいいよ。見てみようか」
すると、どうでしょう。
あんなに頑なに拒否していた次男が、一瞬で車を降りて行ったんです。
そして、あれよあれよと水着に着替えて、プールサイドで見学。 あれよあれよと、いつの間にかビート板で泳いでいる。
あれ、しかも笑ってる。 あれ、しかも、なんか顔つけてるじゃん。
最後は、普通に泳いで帰ってきました。
(「気持ちに寄り添う」ことの大切さは、幼稚園の行き渋りのときにも感じました。その話はこちらの記事に書いています。)
あの子が本当に求めていたもの
あとから思ったんです。
次男は、認めてほしかったのかもしれない。 つらい気持ちに、共感してほしかったのかもしれない。
「頑張ろう」と励ますより先に、「怖かったね、分かるよ」と気持ちに寄り添ってほしかった。 コーチがそうしてくれたから、安心してスイミングに近づけたんだと思います。
すぐに怖い気持ちが消えるわけではないようで、それからも毎週「行きたくない」とは言います。 でも、前みたいに激しく逃げ回ることは、なくなりました。
この経験で学んだ3つのこと
①まず、気持ちを認めて寄り添うことが大切
「頑張ろう」より先に、「怖かったね」。 正論で励ます前に、まず共感する。これが何よりの近道でした。
②困ったときこそ、第三者に頼る
自分たちだけでは八方ふさがりだったのに、コーチに助けを求めたら、意外とあっさり解決しました。 親が抱え込まないこと。これは習い事に限らず、本当に大事だと感じます。
③子どもの可能性を、簡単に見限らない
「ASDだから、一度嫌だと思ったらもう無理だろう」——そう決めつけていた自分を反省しました。
確かに、彼らには実際に難しいことがたくさんあります。 でも、難しいけれど、アプローチの仕方でできること、続けられることはたくさんある。 ひょんな一言で、世界は変わるんです。
まとめ:やめる前に、できることがあるかもしれない
発達特性のある子の習い事は、本当に難しい。 「やめさせるべきか、続けさせるべきか」、正解なんてないと思います。
無理に続けさせるのが正しいわけでもないし、本人がつらいなら、やめる選択だって立派な決断です。
でも、わが家の場合は——やめる前に、**「気持ちに寄り添う」「第三者に頼る」**という、まだ試していないことがありました。
行く前は毎回「行きたくない」と言うけれど、終わったら「楽しかった」と帰ってくる次男を見て、今日もよかったな、と思います。
同じように悩んでいるお父さん、お母さんに、少しでも届けばうれしいです。
うちの凸凹家族、今日もなんとかなってます。


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